歯科医師と患者さんの距離感

歯科医師と患者さんの距離感

こんにちは、黒飛です。

先日、私の歯科医院に高校時代の友人が
歯を治してくれと来院されました。

昔からの親友でよく一緒に飲みに行った仲間です。

彼は歯医者嫌い、虫歯があるにもかかわらず
歯科医院へは長く通っていませんでした。

ですので、彼の口腔内を見たときに結構な数の齲蝕がありましたので
簡単な説明をし、治療を始めることとなりました。

その中で、左下6番に痛みがあるとの訴えがありました。

診査すると、C3で打診痛と根尖性歯周炎に罹患していたので、
リスクを説明後、抜歯をすることとなりました。

しかし、友人も私と同じ37歳。
まだまだ骨植がよく、結構な難抜歯になりました。

1時間ほどの施術時間がかかり
やっと抜歯をすることができました。

そこまでは良かったのです。。。

しかし、
久しぶりに彼と会って、話がはずみ、
その後、その友人と一緒に少しのお酒を飲んでしまいました。

その時は良かったのですが
その友人は、次の日の夜から抜歯窩に痛みを訴え、
結局、つらい思いをさせてしまいました。

普段の患者さんでは、
抜歯後はお酒は控えて下さいと
十分に説明するのですが、

高校の親友だったため、
いつもする説明が不十分でしたし、つい、私も気が緩んでしまいました。

ここから伝えたいことは、
「医者と患者さんの距離感」は大事だ
ということです。

歯科治療において、
私たち歯科医師は、患者さんの前では
少しだけ上の立場にいるのです。

だからこそ治療がうまくいくことがあるのです。

これは、患者さんからすると歯科医師は
大学で勉強をしてきて、医学の知識があり、
専門的な技術を持ち合わせている特殊な人だと思っているので

そんな歯科医師の治療なので
虫歯や歯周病は治るだろうと思っているのです。

私たちだって同じで、内科医の処方する薬を効くだろうと思い、
確認もせずに飲んでいるのと同じです。

患者さんにとって、歯科医師もそうなんです。

つまり、歯科医師と患者さんの間には
微妙な距離感が存在するということです。

少しだけ、歯科医師の方が患者さんより上にいるのです。

だから治療がうまくいくのです。

私は、高校の友人の治療をしたときに
この位置関係を壊してしまいました。

歯科医師と患者さんという距離を越えて
友達同士という距離で治療をしてしまったのです。

友人だからといって、普段なら十分に気を
つけているリスクの説明も不十分だし
その後の注意も甘かったのです。

大事な事は、

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歯科医師と患者さんの距離感を保つこと

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です。

仲良くなりすぎてもいけないし、
あまりに上の立場に立ちすぎてもいけないのです。

一番良い距離感の時に、
一番良い治療効果がでます。
その時に一番良い信頼関係ができます。

歯科医師と患者さんとしての信頼関係です。

良い距離感を保ち、患者さんに
満足してもらえる治療を心がけましょう。