今の1/3の時間で歯科スタッフが成長のために必要なこと

今の1/3の時間で歯科スタッフが成長のために必要なこと

こんにちは、黒飛です。
今回は、
「症例検討会」についてです。
歯科医院を円滑に運営するためには、
スタッフに対するコミュニケーションや
教育・研修の質を高めることが必須です。

そのために役立つのが
マニュアルとチェックシートの活用です。

この点は、これまでの
ブログ、セミナー、ニュースレターでも
たびたび指摘しています。

特に新人スタッフがいるときは、
詳細なマニュアル・チェックシートを
用意することが、1日でも早く
仕事や必要なことを
覚えてもらうために重要でしょう。

それでは、

常日頃から伝えています、
今の1/3の時間で
スタッフが成長させるためには、
それ以外には何が必要になるでしょうか?

 

「症例検討会」の開催を試みましょう
ときどき、「症例検討会」の
開催について質問を受けることがあります。

実は「症例検討会」とは、
一般の医科で頻出する用語です。

症例の情報を共有することや、
各症例に対してどのような処置をするのか、
検討を重ねて決定していくことが目的です。

もっとも歯科医院においては、
全てのスタッフの治療方針の
コンセンサス(共通認識)を作るためという
目的の方が良いと思いますが。

医師や看護師のほか、
理学療法士や作業療法士といった
さまざまな分野のエキスパートが
勤務する、大病院等では
おなじみのイベントといえます。
歯科医院は個人経営が中心の世界で、
スタッフの人数が少ないところが
多いのですが……、

それでも症例検討会を実施することは
(時と場合によりますが)、

スタッフへの教育という観点で見るなら
おおいに効果的でしょう。

 

症例検討会は何度も繰り返さない!
新しいスタッフが来る度に、
その時に教育に最適な症例があるとは
限りません!!

何度も繰り返さなくて良いように、
しっかりと後から他のスタッフも
学べるようにしてください。

つまり、一度でも症例検討をした症例は
スタッフが変わっても、参照できるように
以下をわかりやすくファイリングすると
良いと思います。

————————————–
1・症例の主訴と対処した治療法
2・カルテNO.、患者名、担当医
3・治療スタート日、治療期間
4・現在の状態
————————————–

1の症例の主訴と治療法は

例えば、
「右下6番の欠損、右下8番移植をした症例」
としておけば

後で、同じようなケースを
参照したい時に簡単ですね。
2のカルテNO.、患者名、担当医は

カルテを取り出すことができ、
患者名は結構、思い出すきっかけになります

勤務医がいるところは担当医を
明記することで、参照しやすいですね。
わからないときは聞く相手がわかります。
3の治療スタート日、治療期間は

いつの症例か、その時代の治療法がわかり
期間も大事になりますね。
4の現在の状態は

結局、その治療をして今どうなのか、

安定しているのか?
予知性のある治療だったのか?
定期健診にきているのか?
再治療になっているのか?

などは大事になりますね。

 

症例検討会はどんなスタッフに有効?
1.勤務医・歯科助手

勤務医や歯科助手は、実際の診療活動に
深くかかわる存在です。

当然、あなたの理念とする診療を全面的に
理解してもらわないといけません。

実際に診療業務を担当してもらう以上、
勤務医や歯科助手の場合は、

症例検討会の枠を超えて、
実践演習が必要でしょう。

したがって、あなたの医院に集まる
患者さんによく見られる症例を
教えることは必須です。

それに加えて実際にどうやるのか、
手順や要点まで細かく
教えていく必要があります。

単に症例を説明する場を設けるだけではなく
実践トレーニングの場につなげることが
最終的に必要となるでしょう。

つまり、勤務医・歯科助手のトレーニングは
症例検討と一緒にセットでしてしまうと
効果的、効率的だと言うことです。
2.歯科衛生士

助手の役割を引き受けない場合、
歯科衛生士が担当するのは
予防診療や口腔ケアの範疇が
ベースとなります。

その範疇で、あなたの患者さんに
よく見られる症例があるなら、
そこは入職してきたころに
早めに伝達する必要があります。

歯科衛生士にはやはり、初期治療で
歯周病治療の一旦を担ってもらいたいと
おもう先生も多いのではないでしょうか。

であるなら、歯周病の病態をパターン化して
その症例を学んでもらう必要がありますね。

初期治療後の口腔ケア等についても
実践演習が求められるでしょう。
3.トリートメント・コーディネーター

ある意味でTCは、症例検討会に出席する
必要性がとても高い役割かもしれません。

もちろんTCは、基本的に
診療には関与しない立場です……
助手や衛生士が兼任する場合を除いて。

しかしTCは、患者さんに診療内容や
そのセールスポイントをご説明する立場。

そのためには、症例について
ある程度、知っていると
患者さんの立場で説明することができる
ようになります。

TCが参加する症例検討会では
発表する歯科医師、衛生士は、歯科用語を
分かりやすく話すなどの工夫をしている
歯科医院もあります。

TCは診療に関わらない分、
DrやDH、DAより歯科用語などを知らない。

つまり、患者さんと同じ立場ですので
彼女たちが医院の治療方針などを理解する
ことは、カウンセリングに非常に
効果的だと考えています。

もちろん、難症例の治療法まで
わかる必要は無いかも知れませんが、
この症例が難症例かもくらいはわかると
良いですね。

症例検討会をやるなら、TCには
ぜひ、参加してもらいたいところです。

※毎回、出席してもらう必要はないですが
4.その他のスタッフ

・受付・事務の担当者
・院内歯科技工士
・事務長
・院長秘書

……etc.

これらのスタッフにも、
あなたの医院でコンスタントに
診察している症例については、
基礎知識くらいは身につけてもらうに
越したことはありません。

※症例検討会はあくまでも、
症例に対する処置等を話し合う場。

診療にかかわらないスタッフは
無関係ですが、患者さんに
いつ質問をぶつけられても
不思議ではありませんし、

少しくらいは症例検討会に
参加してもらってもいいでしょう

(もちろん、検討会以外の場で
覚えてもらう機会を別に用意できるなら
出席の必要はなくなります!)。

 

スタッフが出席しやすい日程で!
症例検討会を開くには、
それなりの時間と労力が必要です。

これが多くの歯科医院で症例検討会が
続かない原因かなと思っています。

でもやるなら、
たくさんに出席して欲しいですし、

勤務医や助手ほか、
出てほしいスタッフたちの都合を
よく考慮して決めましょう。