こんにちは、
株式会社デントランス代表
歯科医師の黒飛です。
私たち歯科医院は
患者さんの口腔ケアを通して
患者さんの健康維持に貢献しています。
誇れる仕事であり
患者さんからも感謝されています。
ですが一方で、
歯科医院は多くの人が行きたくない場所の
トップ3に入る場所でもあります。
タービンで歯を削る時の高周波数の音
目を閉じて口の中をいじられる恐怖
そして、治療とは関係のない歯の痛み
そういった様々な不安、苦痛、恐怖が
歯科医院のイメージを決定しています。
これらは治療を行う上では
どうしようもないことですが
できれば嫌われたく、というのが
本当のところでしょう。
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なぜ、歯科医院は嫌われるのか?
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これに関連して、
ある有名な実験をご紹介します。
それは、被験者に
2つの簡単な苦行を経験してもらい
最後にもう一度やるとしたら
どちらを選ぶか?という実験です。
1つ目はかなり冷たい水の中に60秒間
手を入れるというもの。
もう一つは、同じ60秒間は
同じ温度の冷たい水に手を入れますが
その後も引き続き30秒間、
少し温度の上がった冷たい水に
手を入れ続けるというものです。
この2つの体験をした後に
もう一度、どちらかを選択させました。
その結果、69%の被験者が
同じ60秒間の苦行の後に
さらに30秒間の苦行を行うという
2番目を選択したのです。
冷静に考えれば
時間の短い60秒間の
苦行を選ぶはずですよね。
なぜ、このような結果になったか?
という心理学的解釈は次のようなものです。
「人は起こったことのほとんどを無視して
数少ない特定の瞬間に着目する」
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歯科医院の「特定の瞬間」
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私たち歯科医院の場合で言えば
患者さんは、入口の扉を開けた時から
帰る時までのある特定の瞬間に着目して
そこだけが歯科医院のイメージとして
残ってしまうということでしょう。
それが人によっては
歯を削っている音かもしれませんし
探針で探っている時の痛みかもしれません。
あるいは、ほんのちょっとした
先生やスタッフの発言で
不快な思いをしたことかもしれません。
とにかく、一番印象深かったこと
特に、痛みや恐怖、苦痛、恥などだけが
記憶に残ってしまうのかもしれません。
では、どうすればいいかというと
これを逆手にとって
一番印象深かったことを
楽しかったこと、嬉しかったこと
感動したことに置き換えればいいのです。
例えば、ディズニーランドでは
アトラクションを待つ時間は苦痛なので
単に行列を作って待たせることはしません。
行列を作る通路にディスプレーがしたり
アトラクションが垣間見えるように
待ち時間を苦痛にしないように
色々な工夫が施されています。
あるいは、人々が有名なラーメン屋に
何時間もかけて並ぶのかというと
並んで待っているのは苦痛ですが
その後の店内の様々な体験が
全てを印象付けるからです。
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良い印象を植え付ける「瞬間」
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私たち歯科医院が最初にすべきことは
患者さんの恐怖や痛みを和らげること
不快な思いをさせないことです。
患者さんの一番の恐怖は
これから何が始まるかがわからない
と感じた時です。
自分でコントロールできないこと
想定外の事象に恐怖を感じます。
だから、
あらかじめ治療の全体像を説明して
治療の全体像をイメージしてもらい
面倒でも、ステップごとに、
より具体的な説明を行うことです。
それでも、治療中に経験したことが
一番印象に残るでしょうから
治療後にそれを打ち消すような
印象に残る何かをしましょう。
この「何か」は
患者さんによって違ってきます。
子供の場合なら
本やアニメ、ゲームかもしれません。
大人の場合なら
スタッフとのおしゃべりや
相談相手になることかもしれません。
治療後に待合室で一人になり
会計を済ませて帰るだけでは
イメージの回復は難しいでしょう。
忙しいのはわかりますし
患者さんによっては話が嫌いな人も
いなくもないですが
大きな印象・感動を与えるのは
やっぱり「人」です。
相手に敬意を払って話を聞くだけでも
相手は十分に満足します。
そんなちょっとしたことが
先生の医院のイメージをアップさせます。
先生の患者さんが喜び、感動し
治療の苦痛や痛みを忘れてしまうような
「何か」を見つけてください。
今日も読んで頂き
ありがとうございます。
株式会社デントランス
黒飛一志